栄養満点かぶの効能・効果とその特徴
カブ(蕪)は捨てる部分がほとんどなくアクも少ないので、様々な調理方法で食べられる万能野菜です。さらに、含まれる栄養素は妊婦さんに良いものばかり。赤ちゃんのためにも積極的に 摂取したいものです。そんなカブの魅力に迫ります。
淡色野菜と緑黄色野菜の栄養素を摂取できる
カブはアブラナ科アブラナ属の野菜で水菜や小松菜、野沢菜もカブの仲間です。
日本では「春の七草」の一つとして馴染み深く「すずな(鈴菜または菘)」とも呼ばれています。子供の頃に童話で「おおきなかぶ」を読んだ妊婦さんも多いのではないでしょうか。
春から秋までに種まきをして、およそ2ヶ月で収穫できます。プランターでも収穫できるほど栽培は簡単です。古くから痩せた土地の貴重な食料として重宝されてきました。そのまま収穫せずに成長させるとアブラナと同じく黄色い花が咲き、やがて実をつけます。種子を絞れば油を取ることも可能です。
さすがに童話のような大きいカブは実在しませんが、金町小カブのような白くて小ぶりのものから、聖護院カブのように1㎏以上のずっしりしたものまで種類は豊富です。紅カブをはじめ皮や根が赤や紫になっているものもあります。旬は11月から2月にかけての寒い時期で、その頃は根の甘みが凝縮されます。
さらにカブは根だけでなく葉も食べられます。むしろ栄養価は葉の方が優れています。その色からも分かるように根は淡色野菜、葉は緑黄色野菜に分類されます。1つあれば両方の栄養素を簡単に摂取できるでしょう。
妊婦さんや赤ちゃんのためになる栄養素がいっぱい
カブの葉には妊婦さんに役立つ栄養素が豊富に含まれています。
例えば「葉酸」です。ビタミンB群の一種で、妊娠初期における赤ちゃんの脳や神経の発達に欠かせない栄養素です。カブの葉100gで1日に必要な量の1/4(110μg)を摂取できます。血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料であり妊婦さんの貧血防止にもなる「鉄分」も100gあたり2.1gと、多いと言われるホウレンソウ並みです。
他にも骨を生成するカルシウムが100gあたり250㎎、免疫力を高める亜鉛も100gあたり0.3㎎です。ビタミンも体内で必要な分だけAに変わるベータカロテンや、エネルギーを効率的に消費できるB群、風邪予防にもなるCなど、D、E(トコフェノール)、Kに至るまで幅広くカバーしています。
もちろん根の部分もジアスターゼやアミラーゼといった消化酵素、便秘を解消する食物繊維、余分な水分を排出するカリウムなど妊婦さんに嬉しい栄養素がたっぷりです。色付きのカブなら抗酸化作用があるアントシアニンなどのポリフェノールも含まれています。
さすがにカブだけで1日に必要な栄養素をすべて摂取しようとするのは無理があります。妊婦さんの食事は主食や主菜とのバランスも大切です。まずは小鉢1つ分(約70g)くらいを目安に毎日の食卓に取り入れてみましょう。
野菜炒めやサラダやスープに!かぶ料理をおいしく食べよう
生でも加熱しても漬物でも手軽に美味しく食べられる
カブの栄養素を余すところなく摂取するには生食が一番です。サラダにすれば美味しく食べられますが、加熱した方が柔らかくなり結果として多くの量を食べられるようになります。
確かに半分以上減ってしまう栄養素もありますが、むしろ食物繊維やベータカロテンは増えます。加熱しても水溶性ビタミンを摂取しやすいみそ汁やスープ、シチュー、脂溶性ビタミンの摂取効率が高まる油炒めがおすすめです。葉は、じゃこなどと炒めて水分を飛ばし、ふりかけにすると手軽に食べられます。
さらにカブは塩やぬかで漬けると加熱するよりも栄養が残り、カルシウムや鉄分などは生食よりも増えます。体を温める「ナイアシン」も漬物で増えるので、体を冷やしてはいけない妊婦さんは積極的に食べたいところです。酢漬けにするとつわりで食欲がない妊婦さんでも食べやすいのではないでしょうか。
漬物は薄切りにしたカブと2㎝くらいの長さに切った葉を、塩や砂糖、酢などで作った調味料に漬けるだけで作れます。早ければ30分、半日以上漬ければ中央まで味が染みこむでしょう。昆布やトウガラシ、ゆずを入れるとより本格的な味わいになります。
カブの根は赤ちゃんの離乳食にも使えます。味に癖がなくほのかに甘みがあり、厚めに皮をむいて加熱すれば柔らかい食感になるので、生後5ヶ月頃から無理なく食べさせられます。じゃがいもや豆腐など他の食材と組み合わせても美味しそうです。
カブを店頭で購入する時は茎が折れておらず、根が白くて光沢があるものが理想です。茎の付け根が変色していたり、根が割れているものは避けましょう。ラップで保存できますが葉は日持ちしないのですぐに調理するのが望ましいでしょう。
妊婦さんの体や赤ちゃんのためにも積極的に食べよう
カブには根にも葉にも栄養素がいっぱいです。その中には葉酸や鉄分、カルシウムのように赤ちゃんの体を作る重要なものも含まれています。妊婦さんでいる時はもちろん、普段から食べておきたい野菜です。
生でも食べられ加熱すると柔らかくなり、漬物も調味液に漬けこむだけですぐにできます。こうした調理の短さも、動きが制限されやすい妊婦さんには重宝されるでしょう。その癖のない味わいは赤ちゃんの離乳食でも活躍します。