寒くなってきましたねー!
『鍋』の季節到来!!
すき焼き、水炊き、しゃぶしゃぶなどお肉も大活躍ですよね~!
そんな「鍋」でいつも私が思うこと。
それは…、お肉の「アク」!!
なるべくアクを出さずに鍋を楽しむことはできないのかな?
ということで!
今回わたくし「肉オタ」の田窪が、お鍋の「アク」について研究します♪
お肉から出る「アク」って何?
鍋をすると必ず必要になるのが、「アク」を取る作業。
ちょっとずつ取ってキレイにして…って
正直、めんどくさいですよね。
◆そもそも「アク」とは?
お肉の「アク」。
これって、そもそも何なのでしょう?
鍋に限らず、煮込み料理などでも「アク」は必ず出てきます。
これはカレーを作っているとき。
ちょっと目を離したら沸騰してしまい、薄茶色の泡が一面に~!
鍋のときはこんなふうに細かくて茶色いアクが出ますよね。
この「アク」の正体、実はお肉の栄養成分なんです!
◆アクが出る原理
お肉の主な栄養成分は、タンパク質。
加熱すると、このタンパク質などが煮汁に溶けだします。
タンパク質は60℃前後で凝固スタート。
鍋の煮汁に溶け出たタンパク質などが、アクとなって出てくるんですねー!
アクを出さないための仮説
ということは…!
鍋をするとき、こうすればアクが出にくいのでは?!
【仮説】アクを出にくくするためには?
●煮汁の温度を高くしない(沸騰NG)
●火が通ったらすぐにお肉を出す
この2点を守ったら、
アクを少なくできるのでは?
よーし、さっそく実験してみましょう!
実験1:煮汁温度別「アク」の量を検証!
まずは、この仮説を検証!
【仮説】煮汁の温度が低めだと、アクを抑えられる(沸騰NG)
煮汁の温度の違いで、アクの発生具合を検証してみます!
【比較する煮汁の温度】
A:70℃
B:80℃
C:90℃
上記の温度の出汁を用意し、10分づつ加熱して測定します。
しゃぶしゃぶ&煮るのは…
・お肉5枚
・野菜数種類同量
アクが一番出ないのはどの温度?
私の仮説では「A:70℃」!
凝固温度である60℃に近い方が成分の流出が減ってアクが出にくいのでは?
用意したのは、我が家の定番「豚しゃぶ」です!
出汁は白だしを希釈です。
しゃぶしゃぶ用にスライスされた豚肩ロースを選びました。
豚肉はそれぞれ、5枚同量使用。
根菜、葉野菜も一緒に煮てみますよ~。
お肉から流れ出ている、この赤い液体は、「ドリップ」。
ドリップもタンパク質成分ですね~。
しっかり拭き取ってからの方がアクをさらに減らせますね!
◆実験スタート!
A:煮汁温度70℃
出汁を70℃~75℃に調整しながら
10分間スタート!
15年以上使っている年季の入った土鍋。
ヒビがありますが、まだまだ使えます!
温度計がない時、70℃は…
・湯気がうっすら出てきた
・水面がゆらゆらしてきた
くらいを目安にすると良いかもです!
豚肉の場合は、なるべくしっかり
火を通して食べた方が良いので、
その点は注意してくださいね!
温度が低いので、
火が通るまで時間がかかります。
だいたい20秒くらいで火は通りました。
「火が通ったらすぐ取り出す」
これも仮説でしたね!
お肉は取り出し、野菜は入れたまま
加熱していきます。
そして10分経過。
鍋のアクはこんな感じです。
1回すくってもまだアクが浮いてる。
結構出てるなあ。
野菜の火の通り具合もチェック!
にんじん、しいたけはまだ生っぽい…。
70℃の出汁は温度が低すぎるので
10分では野菜は煮えないんですね。
B:煮汁温度80℃
続いては80℃~85℃の出汁で試してみます!
さきほどより水面はゆらゆら。
鍋底から小さな泡が
プツっと数個出てきているくらい。
先ほどより温度が高いので
お肉も15秒ほどで火が通りますね。
お肉は取り出して、10分後。
アクの出具合はどうでしょうか?
あっ、70℃より少ない!
1回でほぼすくい取れますね。
温度が高い方がアクが出にくいのかな?
野菜はちょっと固めですが
美味しく食べられます!
しかも、にんじん甘ーい!
しいたけや白菜もちょうど良い!
野菜の旨みが楽しめる感じです。
C 煮汁温度90℃
最後は90℃~95℃!
80℃のときより、気泡が多く、ふつふつと上がってきています。
お肉は10秒くらいで火が通ります。
ただ、今までより早い段階でアクが表面に浮き出てきました。
10分後。
アクをすくってみると、
意外に少ない!?
と思ったら…、
野菜の表面にアクが付いてる~!!
アクは野菜についちゃっていたのか!
あんまり美味しそうに見えないですね。
90℃は沸騰温度に近いため、
出汁に溶け出たお肉の栄養成分が
今までよりも早く凝固するのかな?
そうしてアクとなったものが、
お鍋の中でグラグラ回って野菜に付着?
スッキリ解決!とはいきませんが、
分かったことをまとめてみますね。
◆実験結果
A 煮汁温度70℃ アク → 多い!一度では取り切れない量 ・豚肉…火が通るまで時間がかかる(20秒~) ・野菜…10分では生煮えで固い |
B 煮汁温度80℃ アク → 少ない!一度で取り切れる ・豚肉…火が通るまで15秒程度 ・野菜…ちょっと固めだが甘みが出て美味しい |
C 煮汁温度90℃ アク → 少なく見えるが、野菜にべったりくっつく ・豚肉…火が通るまで10秒程度 ・野菜…しっかり煮えて美味しい |
\結論/
煮汁温度80℃ならアクが少なく、肉・野菜ともに美味しく楽しめる!
70℃ではアクが多く出る。
90℃では鍋内のアクは少なく見えるが、
アクが対流し過ぎて野菜にべっとり。
当初の仮説は…
「煮汁の温度が低めだと、アクを抑えられる(沸騰NG)」
ちょっと違う結果となりました。
沸騰もNGですが、温度が低すぎてもダメなんですね…。
70℃ではお肉に火が通るまで
一番時間がかかりましたよね~。
火が通るまでの間に、
アクの元となるお肉の成分が
出汁にたくさん流れ出てしまったのか?
これはあくまで推測ですが…。
それなら!
土鍋じゃない鍋を使ったら変わるかな?
実験2:鍋を変えたら「アク」も変わる?
実験1煮汁の温度では、土鍋を使いました。
でも、しゃぶしゃぶ専門店などに行くと
銅やステンレスの鍋が多い!!
ん。これ、ヒントじゃない??
ドーナツ状で、中心が煙突みたいな
しゃぶしゃぶ用鍋ありますよね~。
あの形は、熱を均等に保つ効果があるそうなんです!
ただ、自宅ではちょっと洗いにくいし収納もしにくい…。
なので、私は持っていません!
【実験準備】
シンプルなステンレス鍋で
比較実験してみたいと思います!!
鍋の違いで、
アクの発生具合を検証してみます!
比較する使用鍋
A 土鍋
B ステンレス鍋
煮汁の温度は、先ほど一番結果が良かった「80℃」。
10分加熱して測定します。
・お肉5枚
・野菜数種類同量
アクが少ないのは、土鍋?ステンレス?
私の予想は、ステンレス鍋!
ステンレスの方が熱伝導率が良いので
肉にも熱が伝わりやすいのでは?
よって、お肉の栄養成分がとけ出る前に肉に火が通る!?
◆実験スタート
A:土鍋
さきほどの実験1での結果では、
これくらいのアクの量でした!
これを踏まえて、ステンレスへ。
B:ステンレス鍋
温度は85℃程度。
土鍋と違って鍋底が良く見えます。
気泡もだいぶ上がってきましたね。
豚肉をしゃぶしゃぶします。
やっぱり、土鍋より早く火が通ります!
ただ、温度を一定に保つのが難しい…。
お肉を入れるとすぐに下がるけれど、
しゃぶしゃぶしている間に
温度がぐんぐん上がります(笑)
なんとか10分やり切り、アクの検証!
1回じゃすくいきれない程度にアクが出ていますね。
やっぱり、熱伝導が良いから?
◆実験結果
比べてみるとこんな感じ。
ステンレス鍋のアクは
大きめでぼそぼそした印象。
土鍋の方は細かく、
あまり目立たない感じですね。
\結論/
アクが抑えられるのは、ステンレス鍋より土鍋!
ステンレスの方が火の通りが早い分、アクの凝固も早いんでしょうね~
土鍋はゆっくりと火が入り
80℃がキープされる!
アクの凝固が抑えめになるんですね~。
番外編実験:牛と豚ではどちらが良い?
しゃぶしゃぶは牛肉派!という方もいますよね!!
ここで牛肉にも挑戦!
豚肉×ステンレス鍋と条件は同じ。
やってみましょう~!
10分間の加熱後。
おやおや?
ステンレス鍋も土鍋も、アクはほとんど出ていません。
アクを抑えたいなら、牛肉の方が良いかも?!
たしかに、豚肉より牛肉の方が
お肉のしゃぶしゃぶしている時間は
少ないですもんね!
アクを抑えたいなら、豚肉よりも牛肉!
それともう1点。
出汁の色に注目!!
豚肉よりも牛肉の方が、出汁の色が濃くなりました。
お肉の色味も、しっかり出汁に溶け出すんですね!
なるべく出汁の色をキレイなまま保ちたいなら…、牛より豚!!
豚肉しゃぶしゃぶの方が
出汁色は良いかもしれませんね!
出汁の色をキレイに保ちたいなら、牛肉より豚肉!
まとめ
分かったことをまとめてみます!
アクは「肉のタンパク質等の栄養成分」
お肉から流れ出た赤い液体”ドリップ”もアクのもと。
しっかり拭き取ることで余分なアクが出るのを防げます。
煮汁の温度は80℃~90℃程度に!
煮汁の温度が低すぎると、火が通る前にお肉の成分が出汁に流れ出て凝固→アクになってしまいます。
一方、高すぎると、流れ出た成分がすぐに凝固→アクが目立つようになります。
つまり!!
しゃぶしゃぶの出汁の温度は、
80℃~90℃をキープが理想!
土鍋を使うのが◎!
熱伝導の良いステンレス鍋と、保温性の高い土鍋。
どちらも利点はあります。
しゃぶしゃぶのアクに関して言えば
温度を一定にキープできる『土鍋』がおすすめです!
これまでなんとなく取っていた「アク」の存在。
調べてみると、”温度”との関係性がとても高かったんですね!
ご自宅でしゃぶしゃぶやお鍋をする際に参考にしてもらえると嬉しいです。
寒~いこれからの季節、土鍋であったまりましょう~♪
次回の食オタnoteもお楽しみに☆