おいしいお鍋もスープも、だしが決め手!
でも、だしを取るのって面倒ですよね。
毎日続けられるくらいに簡単な、だし取り方法は無いものか…。
「昆布だし」だったら、材料も少なくて、片付けも楽かな?
ということで、今回はうま味の原点、
「昆布だし」に迫ります!!
昆布だし実験①:昆布だしの取り方~煮だしVS水出し
あれ?そもそも「昆布だし」ってどうやって取るんだっけ??
水出しと煮出しがあるのは知っているんだけど…
実は私もちょうど、だしの勉強をしているところなのです!
ということで、早速調べてみました。
◆昆布はどれくらい入れるの?
使う昆布の量は、水の重量の1~1.5%くらいが基本みたい。
昆布は、水の1~1.5%の重量を使用
水1リットル=1kg(1000g)
※水の温度で微妙に変わりますが、1ℓ=1kgで計算して大丈夫です!
なので、その重さの1%は、1000g×0.01=10g
つまり1~1.5%ということは昆布は10~15gの分量!!
水1リットル:昆布10~15g
計算するのは面倒だから、これで覚えちゃおう♪
◆昆布は水洗いしちゃダメ?
昆布は水洗いNGと言われています。
…なんで???
昆布表面についている白い粉。
これは「うまみ成分」なんだって!!
なので、ジャブジャブ水洗いすると、
この粉まで洗い落ちちゃいますね!
なので昆布は、硬くしぼった濡れふきんで拭くが正解!
これはホコリや汚れを除去するため。
こすり過ぎて、白い粉まで取れないよう
気をつけなきゃ。
基本の「昆布だし」の取り方
2通り方法があります!
(1) 煮出し お鍋で煮て、だしを取る方法ですね。 こちらが一般的かな?? |
(2) 水出し 水にひと晩漬けておくやり方! 珈琲も水出しが美味しかったりするし、 期待大ですね!! |
果たして、どっちが簡単で美味しい?!
「煮出し」「水出し」2つの方法を比較検証したいと思います!
いざ!!昆布だしを取ってみましょう!
昆布だしの取り方「煮出し」
①昆布を固く絞った濡れ布きんで拭う
②水を張った鍋に昆布を入れ、30分以上浸す
③中火にかけ、沸騰直前に取り出す
まずは王道の煮出し!
お鍋には、水1リットル。
昆布はその1.5%の重さ、つまり15g用意。
かたく絞った濡れふきんでふいたら、
お鍋の水の中に入れますー!
30分後…。
わお、けっこう大きくなるのね!
中火にかけて煮出します。
目を離すと沸騰しちゃうので気をつけてください~!
「沸騰直前」で、昆布を取り出します。
煮出しの昆布だし、できた♡
いい香り~♪
粗熱を取って容器に移し替え…
冷蔵庫で保管できます!
昆布だしの取り方「水出し」
①昆布を固く絞った濡れ布きんで拭う
②水の入ったボトルに昆布を沈め、冷蔵庫で一晩以上寝かす
続いて、水出し。
昆布の重量をはかります。
煮出し同様、かたく絞った濡れふきんでふきふき。
そして、水の入ったボトルに、ポチャン。
そして、3時間(できれば一晩)待つ。
水出し…本当にこれでいいの?
っていうくらい簡単!!
やっぱり味が落ちるのかな?
とにかく!
一晩待ちましょう~!!
煮出し・水出しを比較してみよう!
一晩経ちました!
いざ、ティスティングです!
水出しの昆布を取してみると、すごいぬめり…!!
煮出しの時はこんなに糸を引きませんでした。
気になったので、手に塗ってみることに。
あれ!?逆だ!
煮出しのがヌルっとしてる!
色もほんのすこーしですが、煮出しの方が濃いようです。
やっぱり、煮出しの方が昆布エキスが溶け込んでいる??
香りはどうかな?
まずは煮出しから。
おぉー!昆布のいい香り!
肝心な、煮出しのお味は…?
…まろやかー!
これぞ、うま味!って感じです。
そして、水出し。
…香り…は、…弱いなぁ…。
味は、すっきり!
うま味よりも、甘みが強く感じるかな?
でも、家族に感想を聞いてみると…
「煮出しのがまろやか!」
「濃い~」
「色も違うね!」
やっぱり煮出しのが人気かなあ…。
\結論/
煮出しVS水出しでは、味・香りともに「煮出し」に軍配!
でも私、やっぱり「水出し」を諦められない!!
だって、水に昆布を入れておくだけって本当に簡単なんだもの!!
昆布だし実験②:水出しで美味しくできる方法を追求!
どうにかして、水出しでも煮出しに負けない味を出したい!!
方法を考えてみます!
◆昆布だしについて考えてみる
まずは昆布だしのことから考察。
昆布だしの味を分析するとこんな感じ。
その中で、特に味に影響を与える
次の4つに注目!
●うま味 ●甘み ●香り ●雑味 |
これをバランスよく引き出せれば、煮出しに負けないはず!!
水出し方法比較実験
【仮説】試してみる方法
仮説A:昆布の「量」を増やす
さきほどの、煮出しVS水出しでは、
昆布と水の量は同じ。
煮出しのが濃く感じました。
単純に昆布の「量」を増やせば、
うま味・甘み・香りが多くなり
濃くだしが出るのでは?
昆布の量を、倍にしてみます!!
仮説B:昆布を「刻む」
水に触れる「面」を増やしたら?
丸ごと入れるよりも、刻んでみたらどうでしょう??
細かくすることで雑味も出てくるかな?
比較してみます!
仮説C:「抽出時間」を長くする
それから、抽出時間!
長く浸ければそれだけ濃く出るかも…?
6時間12時間24時間で、検証してみたいと思います。
同時刻にティスティングするため、
抽出時間を逆算して仕込みます。
ということで、この3つの仮説のもと組み合わせて比較検証します。
実験するのは、次の9パターン!!
さぁ、この9パターンを
一気に比較していきますよ~!!
【結果】美味しく水出しできたのは?
昆布だしで注目すべきは、うま味・甘み・香り・雑味。
家族とお友だちに飲んでもらい、順位をつけてもらいました!
◆昆布の量
みなさん、昆布の「量」を増やすと
うま味・甘み・香りを強く感じると!
通常は水の1.5%の重量ですが、
倍量の3%の昆布を使用!!
水出しの欠点である「薄さ」は
「昆布の量」でカバー出来ました♪
水出しするときは、昆布の量を倍にすると良い!
※参考※
1.5%(通常)→ 水1リットル:昆布15g
3%(倍量)→ 水1リットル:昆布30g
◆昆布の形状
残念ながら、刻んだとしても、
だしは濃く出ませんでした。
注目すべきは「雑味」!
刻むとこの雑味が出て、
うま味や甘みの邪魔をします。
雑味の影響力は大きく、
マイナスポイントは大きいようでした。
昆布を刻むと雑味が出るので美味しさダウン!
そのまま使うべし!
◆抽出時間
時間を置くほど、香りは出る
という結果に!
けれども、「海臭くて苦手…」
という意見もちらほら。
長く置かない方が、甘みを感じてくせがないかも。
そして、刻むことで出てきていた雑味。
長時間抽出も、雑味が出る!!
長ければ良いというものではなさそう。
長時間抽出すると香りは強く出るが、雑味も出てくる
試飲してもらったみなさんの
投票結果はコチラ!
もっとも得票数が多かったのは…
●昆布の量:倍量 ●昆布の形状:そのまま ●抽出時間:12時間 |
の水出し昆布だし!!!
つまり、昆布の量だけ倍にしたものがおいしいと人気が高かったです♪
追加実験!昆布量を比較
水出しでも、
昆布の量を増やせば、うま味や甘みがしっかり出る!
ということがわかりました。
でも、いくら楽をするためとは言え、
倍量って結構もったいない。
もう少し節約できないかな~!
試してみます!!
昆布の量
・1.1倍
・1.25倍
・1.33倍
※基準※
1.5%(通常)→水1リットル:昆布15g
水出しでできた昆布だしは、こちら。
すこ~し色も違う!
さて、飲み比べてみましょう。
●昆布量1.1倍
さすがに薄いですね~。
水道の塩素の匂いに昆布だしの香りが負けます…。
●昆布量1.25倍
うん!
煮出した時と同じくらいです!
ちゃんといいおだし♪
●昆布量1.33倍
倍量ほどではないですが、
まだ節約できそうなお味です!
\結論/
水出しで、煮出しと同じ濃さの昆布だしを取るには、昆布の量を1.25倍にすればいい!
その昆布にもよると思いますが、1つの指標が出来ました♪
これで水出しの昆布だしを楽しめそう♡
毎日のお料理に、おいしい昆布だしを使いたいー!
実験結果から、おすすめの昆布量を
まとめておきますね♪
水1リットル:昆布15g
※基準の1.5%量
水1リットル:昆布18.75g
※基準1.5%の1.25倍量
昆布だし実験③:だしに適した水は?
さてさて。
食オタたるもの、まだ終われません。
海外に住む友達から、こんなお悩みが。
「日本と水が違うから、海外だとおだしが美味しく取れないんだよね」
日本と海外の水の違いは、硬度にあります!
硬水と軟水
硬度とは、水に含まれるミネラル成分(CaとМg)の量のこと。硬度別に呼び名が変わります。
・60mg/ℓ以下…軟水
・60~120mg/ℓ…中程度の軟水
・120mg/ℓ以上…硬水
そこで、水を変えて味比べ実験!
ホントに使う水で、そんなに
だしの味が変わるのでしょうか?
やってみましょう~♪
3つの硬度の水を用意!
●軟水 (硬度約50mg/ℓ)
●水道水 (硬度約90㎎/ℓ)
●硬水 (硬度150㎎/ℓ)
昆布だしの取り方は、実験2の一番おいしい水出しの方法で統一。
いざティスティング!
……!!!!
ここまで味が違うとは…
私は、冷たく冷やした硬水も好き!
という味覚の持ち主。
でも、硬水で昆布だしにすると、
なんだか苦いくらい!!!
甘みだったり、まろやかさだったりが
半減しちゃってるー!!
水道水も、塩素が昆布の香りの邪魔しています。
軟水でとっただしが
こんなに美味しいなんて…!
\結論/
だしに使う水は「軟水」を!
だしには、硬度の低いミネラルウォーター!
せめて、ろ過した水道水ですね~。
まとめ
今回実験してきた、最もおいしくできる昆布だしの取り方をポイントをまとめてみます!
水出しは、水に入れておくだけで
とっても簡単♪
でも残念ながら、香りはどうしても
煮出しに敵いませんでした。
水出しだけにこだわらず、
料理によって使い分けると
良いのかもしれませんね~!
煮出しも、だしを取った直後が
一番良い香りでしたよ♪
おだし…
材料一つでこんなにも奥が深い。
究極のだしを求める旅はまだまだ続きそうです。
今回の実験では、白口浜真昆布を使用しました。
昆布にはいろんな種類があります!
種類が違うと、結果も変わるでしょうし、
風味も変わります!
ぜひみなさんも、いろんな昆布で
おだしを楽しんでくださいね~♪
次回の食オタノートもお楽しみに~♪