毎月行われる編集会議。
そこで1ヵ月の振り返りと次回のテーマ決めが行われるわけです。
その中で出た声が
「麹についてもっと知りた~い!」
これが麹↓
ということで、今回はクイズを交えながら日本伝統の「麹」に迫ります!
「麹(こうじ)」とは何?
「麹って何?」よく聞かれます。笑
麹って見たことはありますか?
麹そのものは見たことがなくても私たちの日常生活には必需品。
では、ここで麹クイズ~!
<問題1>
この中で麹が使われていないものはどれでしょう?
味噌・醤油・たまり・お酒・ワイン・お酢・みりん
これは簡単かな?
前置きにも書いた「日本伝統の…」がヒントです。
答えは…
ワイン
ブドウが主原料のワインには麹は使われていません。
伝統の製法で作られた他のもの、味噌・醤油・たまり・お酒・お酢・みりんには、全て麹が使われています。
麹とは米や麦、大豆などの穀類にコウジカビ(麹菌)を繁殖させたもの。
一般的に使われるのは黄麹菌で、学名はアスペルギルス・オリゼー。
「カビ」と聞くと少し微妙な感じ?
でも私たちはいろいろなカビのお世話になっているんですよね~。
ここで麹クイズ第2問!
<問題2>
カビは「発酵の三大微生物」のひとつですが、あと2つはな~んだ?
これは難しい…。
ヒントはこの写真。↓
答えは…
酵母・細菌
そうです。
発酵の三大微生物は、
①カビ ②酵母 ③細菌
①カビ…味噌、醤油、かつお節、チーズ
②酵母 …パン、ビール、ワイン
③細菌…ヨーグルト、漬物(乳酸菌)
こちらが発酵の微生物たちの写真↓
上段テンペ菌、パン酵母、納豆菌
下段麹カビ、黒麹カビ、紅麹カビ
この写真は結構怖いですよね?!
その他、発酵の微生物たちは医薬品にも使われています。
広い意味ではキノコ類も入ります。
お世話にならない日はないくらい 。
カビや菌たちを嫌いにならないでね~笑
麹菌は、古くから日本の食を支えてきた
貴重な財産。
いうことで国菌に認定されています。
麹菌は日本の風土にだけ合う日本固有の菌なのです!
この菌が働くことにより分解が進み、
旨味や甘味を作り出すんですね~!
<問題3>
「麹」と「糀」は同じものである
○か×か?
これもよく聞かれます。
どちらも「こうじ」と読むけれど…
違うもの?
同じもの?
分かりにくいですよね~。
答えは…
〇
「麹」と「糀」は同じもの!
麹=中国から来た漢字
糀=日本で作られた国字
主に糀は米麹を指します。
これが米麹↓
蒸したお米にカビの菌糸が伸びると
胞子でもふもふするんです。
まるでお米に花が咲いたよう!
それで 米+花=糀 になったのです。
日本人のセンス、凄いですよね!?
実は私、このもふもふが大好き♥
ただ今回は「麹」で統一しますね。
家で麹を作ってみよう!
自宅で麹って作れるのか?
やってみたいと思います!!
まず、麹を作るのに一番大切なこと。
種麹(たねこうじ)が必要!
麹は種麹がないと作れません。
■種麹とは何?
これが種麹↓
パッケージの真ん中、なんて書いてあるかわかりますか?
これ「もやし」と書いてあるんです!
麹クイズいきますよ~!
<問題4>
袋の真ん中になぜ「もやし」と書いてあるのでしょう?
①種麹がもやしから作られるから
②昔は種麹のことをもやしと呼んだから
③種麹はよく燃えるから
これはなかなか難しい…?!
「もやし」という言葉は、草が芽吹く「萌える」が変化したもの。
カビの菌糸が伸びて、胞子でもふもふする様子。
これはまさに「萌える」!!
答えは…
②昔は種麹のことをもやしと呼んだから
「もやし」とは種麹のことですね。
種麹屋さんのことを「もやし屋さん」とも呼びます。
『もやしもん』という漫画アニメを見たことはありませんか?
「もやし屋さん」の息子が主人公で、菌たちがたくさん出てきます♪
この種麹を扱う「種麹屋さん」は日本に十数軒しかありません。
しかも種麹の作り方は一子相伝!
その家の当主しか知らないんですって!
石黒種麹店4代目当主(写真中央)が、
そう教えてくださいました。↓
お酒、味噌、醤油など作るものによっても使用する種麹は変わるそう。
種麹には白や緑もあり、これも用途によって使い分けます。
一般的には緑の方が発酵力や糖化力が強いと言われます。
その分、扱いが難しいかもしれませんね。
種麹はだれでも買えます。ネットで調べてみてください。
ただ家庭で作る麹に使用する種麹の量は
ほんの数グラム。
購入する時は量をよく見てくださいね!
■家庭で作る麹の作り方
では!種麹を使って麹を作ってみます!
まずはお米を蒸して、種麹を振りかけます。
布巾でくるんで3日間保温!
温度と湿度を管理しながら~。
途中何度か布巾をほどいて、温度を保ちます。
温度管理が特に重要!!
40℃以下に保つ必要があります。
でもうっかりすると、すぐに温度が上がりすぎちゃう!
そして菌が繁殖するためには酸素も必要。
布巾をほどいて平らにならして、
再度まとめて保温するという工程が必須なんですよねー。
私も温度が心配で寝ずの番をした経験が…汗
この苦労を考えると購入することをお勧めします!笑
さぁ、ここでも麹クイズ!
<問題5>
普通に炊いて残ったご飯でも、種麹があれば麹は作れる。
○か×か?
わざわざ蒸して準備しなくても
残ったご飯でできたらいいですよね。
答えは…
×
残念ながら残りご飯では作れません。
水を極端に減らして炊けばできると聞いたことはあります。
でもやったことないので何とも…汗
【比較実験】生麹と乾燥麹
麹には、生のものと乾燥したものがあります。
私は普段、生麹を愛用。
今回の実験にもストックしている生麹を使用します。
乾燥麹ってあまり使わず…。
探しに行かねば。
■乾燥麹を入手
まずは乾燥麹を探しにスーパーへ!
1軒目。
麹の陳列棚はあるけれど空っぽ!
乾物の棚でマルコメの米こうじを発見。
そして2軒目へ。
ありました、みやここうじ!
今回、この2つを使ってみます。
それぞれの乾燥度合いがわからない~。
様子を見ながら実験してみますね。
■乾燥麹と生麹の違い
まずはメリット・デメリットを比べてみます~!
【生麹】
○風味豊か
○パワーがある
×常温保存ができない
×入手しづらい
×量が多い、単位が大きい
【乾燥麹】
○保存性が高い
○スーパーにもあり、入手が楽
○少量から買える
×発酵のパワーが若干落ちる
■生麹と乾燥麹の保存方法の違い
生麹は冷蔵庫で保存。
1週間以上使用しない時は冷凍庫へ。
乾燥麹は基本常温保存が可能。
ただしそれぞれに記載してある保存方法を守ってください。
※みやここうじは冷蔵庫保管を勧めています。
■生麹と乾燥麹の選び方
乾燥麹は塩麴・甘酒ブームなどもあり、スーパーでも購入が可能になりました。
それに比べると生麹はまだまだ入手困難。
ネットで買うのが一般的ですが、クール便送料がかなりかかってしまいます。
どちらでも自分に合った方を選んでくださいね。
【実験1】そのまま食べて比較
みやここうじの袋に、「そのまま食べるても」と。
そのまま食べてみます!
■生麹
しっとりしているので噛める
生感があり、甘い
■マルコメ(乾燥麹)
何とか噛める
サクサクした感じ
■みやこ(乾燥麹)
見るからにもふもふ
噛める
カリッとした感じ
私的な結果
●サクサク感…マルコメ> みやこ > 生麹
●甘味…甘さNo1はやはり生麹!
乾燥麹のマルコメとみやこは、甘さの方向性が違うと感じました。
どちらも甘いけれど、私の好きな生麹に近いのはマルコメでした。
みなさんも機会があったら麹そのまま食べてみてください!
【実験2】塩麹を作って比較
今度は塩麹にして比較してみます。
使うのは引き続き、この3種。
①マルコメ(乾燥麹)
②みやこ (乾燥麹)
③生麹
100gづつ作ります!
同量の麹を並べてみると見た目には少なく見えますね。
粒を並べてみると…
マルコメは麹の粒が小さいのが分かります!
材料
麹:100g |
塩:30g |
お湯:適量(50℃ぐらい) |
では塩麹づくりスタート!
まずは、麹を手でよくほぐします。
塊がホロホロ崩れていきます~。
崩し終わったら麹に塩を混ぜこんでいきます。
消毒した容器を準備。
麹を入れて、適量のお湯を入れて混ぜます~!
熱湯ではなく50℃くらい!
はい!
これで準備完了♪
塩麹って意外と簡単なんですよね♪
常温に置いて、毎日かき混ぜます。
最初に入れた湯量
①マルコメ(乾燥麹)120cc
②みやここうじ(乾燥麹)150㏄
③生麹 100cc
※マルコメとみやこは袋の裏の表示通りの湯量
翌朝、様子を見ると…
③生麹は水分量もちょうどいい感じ!
①マルコメと②みやこは
明らかに水分が足りない感じ。
私がいつも作っている感覚で足す水分量を決めました。
マルコメには10㏄・みやこには15㏄
加えました。(写真はマルコメ)
乾燥していた麹が水を吸い、
上部が乾いた状態だったのでこういう判断をしました。
合計水分量
①マルコメ(乾燥麹)130cc
②みやここうじ(乾燥麹)165㏄
③生麹 100cc
同じ100gでも、やっぱり乾燥度合いが違うんですね~!
生麹よりも乾燥麹の方が入れる水分量が多くなりました!
水分を足した後はこんな感じです。
■1週間後
1週間様子を見てみました。
その間、毎日混ぜましたよ。
そして、できた塩麹はコチラ!
食べてみると…
私的にはやはり生麹が美味しいなぁ。
あとの2つはもう数日置いておいた方が良さそう。
スプーンを入れるだけで発酵具合が違うことがわかります。
10日置いたらいつもとそんなに変わらなく
使えるかなと思います。
■10日後
10日置いてみました!
どうでしょう?
見た目もほとんど変わりません。
混ぜた感じもふかっとしていい感じ。
味は…どれも美味しい!!
生でも乾燥でも美味しくできました。
【結論】
生でも乾燥でも扱いやすい方でOK!
袋の表示をよく見て、自分の感覚で水分量を上手に調整してください!
振り返り
生でも乾燥でも扱いやすくて、入手しやすい方を使ってくださいね。
どちらもそれほどの違いはなさそうです。
最後に麹に関するミニ知識を。
麹塵(きくじん)
麹の緑色は和名で麹塵(きくじん)と言います。
その昔、天皇と着用を許された者だけが身につけることができた高貴な色。
昔から麹が人々の生活に深く関わってきたということなのでしょうね。
■菌塚
そしてもう一つ!
私たちのために働いてくれた菌たちを弔う菌塚!!
京都の曼殊院門跡にあります。
菌塚の背面にはこうあります。
「人類生存に大きく貢献し犠牲となれる 無数億の菌の霊に対し至心に恭敬して 茲(ここ)に供養のじんを捧ぐるものなり」
菌たちに感謝!
ますます菌が好きになった私なのでした~笑
興味のある方は一度麹作りにも挑戦してみてください!
私も基本以外の作り方で、また麹作りをやってみるつもり。
発酵を学ぶにつれ、菌たちの働きには驚くことばかり。
でもだからこそ、面白いのです!
菌オタクとして、もっといろいろ楽しもうと思います。
次回の食オタノートもお楽しみに~♪