「古米」は「古い米」と書くため、良くないイメージを持っている方も…。
でも「古米は全て=まずい・臭い」は間違い!
不適切な保存方法が、米をまずく・臭くするんですね!
それは新米でも古米でも同じこと。
”米の正しい保存方法”については、前回教えていただきました。
≫ https://www.shokuota.com/ikemako-komai-1hozon
今回は「古米の使い方」を探求!
お寿司やチャーハンなどは、
新米より古米が向いていたりするんです!
古米の魅力を再発見してみましょう。
「古米」とは
古米について教えてくださるのは、このお二人!
佐賀県佐賀市にある池田誠商店の、
池田大志(ひろし)さんと西山郁美さん。
そもそも古米の定義とは
まずは、「古米」の定義を整理しておきましょう。
新米…その年に収穫された米
古米…前年に収穫された米
※前々年に収穫された米は古古米(ここまい)、その前が古古古米(こここまい)…と年を重ねるごとに「古」が増えていきます。政府は備蓄計画により、5年間米を備蓄しているそうですよ。
何月何日から古米になるか、明確な基準はないとのこと。
(”米穀年度”の考え方がありますが、11月1日での年度替わりなので現代の収穫時期とズレが生じています)
「今年の新米が出回り始めたら、前年の米は古米と呼ばれる」
と思っていれば良いみたいです!
古米と新米の違い
新米と古米のそれぞれの特徴は何でしょうか?
新米
古米
私達は「新米」という響きに飛びつきがち…。
でも「古米」には古米の良さがあり、向いている調理法があるそうです!
チャーハンや寿司は、水分量が多い新米よりも、古米が向いています!
技術向上で古米が美味しい
戦後など昔は、まだ今のような米の保管設備が整っていませんでした。
古米になると虫が湧いたり、古米臭がしたりしていたのでしょうね。
でも現代は、著しく技術が発展。
米は温度湿度を調節されながら、低温倉庫に保管されます。
精米技術も格段に向上しました。
だから、現代の古米は美味しいんですね!
古米の炊き方のコツ&ポイント
では古米の炊き方について、
米のプロに詳しく教えていただきましょう!
佐賀大学の中にある「オプティムカフェ」へ。
池田誠商店が運営を行っています。
西山さんが出迎えてくださいました!
古米の炊き方ポイントは浸水
古米は新米に比べて、水分量が少ないのが特徴です。
なので、浸水をしっかりすると間違いないと西山さん。
冬場、2時間も待てない時でも、
最低1時間は浸水した方が良いとのこと。
ちなみに、翌朝炊けるように前の晩にセットする方も多いと思います。
(※あまりに浸水時間が長いと、浸水し過ぎで味が落ちるので注意してください)
夏場、水の温度上昇が気になるときは、氷を入れておくと良いそうですよ!
氷を入れた分は、水を抜いてくださいね!
古米の研ぎ方のコツ
それでは実際に、古米を炊いていただきましょう!
お米の炊き方は…
米を研ぐ(洗う)
↓
浸水
↓
炊飯器に入れて炊く
が基本ですね!
古米だからこそのポイントってありますか?
「➀最初の研ぎ水をすぐ替える」「②ゴシゴシ力を入れすぎない」「③浸水に美味しい水を使う」の3つです。
➀最初の研ぎ水をすぐ替える
古米は「水分量が少ない」のが特徴です。
つまり古米は、水を吸いやすい!
特に米の研ぎはじめは、乾燥しているので研ぎ水をよく吸うそうです!
なので、最初の水はすぐ捨てた方が良いとのこと。
白濁した水でいつまでも米を研いでいたら、
ぬか臭い水を吸ってしまいます…。
はじめの1~2回目は、すぐ水を入れ替えるのがコツ!
②ゴシゴシ力を入れすぎない
昔は手のひらの付け根で、ギュッギュと洗う方法でしたね。
今の米は、その必要はないそうです!
「昔に比べて格段に、精米技術も向上しているんですよ」
と西山さん。
古米は、新米より乾燥しています。
力を込めると米粒が割れてしまう恐れがあるとのこと。
粒が割れると、粒立ちが悪くなって粘りも出てしまい…
炊きあがりの食味が落ちてしまいます。
古米を研ぐ時は「かき混ぜて汚れを洗う」イメージで!
3~4度水を変えて洗ったらOKとのことです。
③浸水に美味しい水を使う
浸水時入れるのは、美味しい水がオススメ!
吸わせる水によって、米の味も左右されますよ。
浸水するお水のまま炊いてOKとのことなので、
洗った米をお釜に入れて、目盛まで美味しい水を入れましょう。
古米の炊き方のコツ
▼浸水時間
夏/30分以上
冬/2時間以上
※最低でも1時間以上
浸水が終わったらいよいよ炊飯です。
古米が、より美味しく炊けるコツを教えてください!
古米が美味しく炊けるコツ(1)
氷を入れる
なんと!
氷を入れると古米が美味しく炊けるそうです!!
低温からじっくり炊飯することで、お米に含まれるデンプンが糖(甘み)に変化するんですよ。
分量は、1合に対し氷1かけら。
氷を入れた分の水は抜きます。
古米が美味しく炊けるコツ(2)
酒を入れる
古米に、特にオススメの方法とのこと。
1合に対して大さじ1の酒を入れます!
独特な古米臭の臭み消しになるとのこと。
また、米粒が酒でコーティングされてツヤが出るそう。
そしてふっくらとした炊きあがりに!
使用するのは美味しい日本酒がオススメとのこと。
佐賀の米+佐賀の酒など、産地を合わせるのも粋ですね!
最高の炊き方の古米はめちゃ美味しい
今回は、浸水時間はちょっと長めの4時間半。
氷と酒を入れて炊き、蒸らし約10分。
さて、炊きあがりは?!
おぉ~!美味しそう!
米のプロが炊いた古米です。
いざ、食べてみましょう!!
…んんっ!!驚
口に入れたときにほどける粒と、程よい粘り。
そして、あまーい!!
古米ってこんなに美味しかったんだ!!
これぞ!
米のプロによる古米の炊き方!
ぜひ皆さんも真似してみてください♪
古米のオススメの食べ方
西山さんにもっと古米の食べ方について聞いてみましょう。
新米より古米が向いている料理
チャーハン・寿司飯には、新米より古米の方が向いているそうです!
●チャーハン
やっぱりパラパラにしたいですよね!
新米だと粘り気が強すぎて、ベトっとしてしまうそうです。
●寿司飯
すし飯は酢を浸透させますよね!
調味料を浸透させやすいのも古米なんだそうです。
古米で自家製米粉のから揚げ
衣ということは…揚げ物?!
古米を粉砕して、鶏の唐揚げにします。
作り方を見せていただきました。
古米で米粉を作ろう
古米は新米より乾燥しているので、粉砕しやすいんですね!
ミキサーやミルに入れて、スイッチオン。
結構あっという間に粉々になります。
半合(1合の半分)の量で、たくさんの米粉が出来ました!
経済的っ!!
だからこそ、から揚げに使うとザクザク食感になります!
池田誠商店で作っている市販の米粉と比べると…
ぜんぜん粒の細かさが違いますね!!
(※お菓子作りには市販の米粉を使った方が良いとのことです)
古米の米粉で唐揚げづくり
今回は鶏肉約300gを用意。
下味をつけたお肉に、自家製米粉をまぶします。
(このときの下味は醤油・酒・砂糖・マヨネーズ・生姜・ニンニク)
作った米粉(半合)の半分くらい使用しました。
揚げる時は焦げやすいので注意とのこと。
そっか。
米って甘いですもんね!
古米で作った米粉のから揚げ、完成~♪
この粒々!
米感出ていますね!
古米の米粉唐揚げ実食
おぉぉ!ザクザク!!
衣が香ばしくてクリスピー感あります!
米で作っているからか、食べ応えもあります!
冷えてもガリガリ感が続くそうですよ。
古米の米粉の保存方法
古米を粉砕して作る自家製米粉。
粒は粗いので、やはり揚げ物に向くそうです。
魚のムニエルも美味しそう!
古米を米粉にして余った分は、密閉して冷蔵庫へ。
普通の古米と同じ保存方法でOKとのことです。
【検証】古米VS新米おいしいのはどっち?!
池田誠商店の皆さんには、
古米の魅力をたくさん教えていただきました。
「新米採れたよ~」ということで
池田誠商店から新米と古米が届きました!
いろいろ古米について教わったけれど…
でも、本当?!
やっぱり新米の方が美味しいんじゃないの?!
ということで。
実際に「チャーハン」「すし飯」を作って、食べ比べ検証してみましょう!!
まずは古米・新米を炊いてみた
チャーハンも寿司飯も、あまり浸水させないでOKとのこと。
今回の浸水時間は20分間で。
浸水後、見てみると米粒の様子が違う!!
白くなっている部分が違うの、分かりますか?
新米はすでに白濁してほぼ中まで水が浸透。
一方、古米はまだ透明の部分が多いです。
古米の浸水時間の重要さが分かりますね~。
炊きあがりは、どちらも美味しそう♪
でも、一口食べてみると…
新米の方が柔らかい感じがしますね!
新米おいしい!!
古米vs新米どっちが美味しい?
~チャーハン編~
では、チャーハンで検証行ってみましょう!
チャーハンは米粒がパラパラに限りますよね!!
確かに、古米が向いてそうですが…。
作ってくれるのはこの方!
チャーハン作り初心者にお願いしてみました!
今回の材料
・ニンニク ・チャーシュー ・卵 ・青ネギ ・塩コショウ ・鶏ガラスープの素
新米/チャーハン
まずは新米から挑戦です。
米粒をほぐすのに苦戦していますね!
「なかなか米の塊がほぐれないんだけど…」と。
具材を投入するものの、混ざりにくい…。
米粒同士がくっついているので、間に具が入っていきませんね。
古米/チャーハン
お次は、古米で作ってみましょう!
なかなか良い調子です!
「新米より断然炒めやすい!」とのこと。
ごはんもパラパラになってきましたね~。
しっかり米粒がパラパラになっているので、具材も間に入りやすいのです!
古米vs新米チャーハン食べ比べてみよう!
古米で作ったチャーハン
新米で作ったチャーハン
さぁ、実食です!
ちょっと焦げているのはご愛嬌(笑)
食べてみると…
確かに!
新米より古米のチャーハンの方が美味しい!!
パラパラ具合が違います!
同じように盛ったはずなのに、崩れ具合もこの通り↓
▼新米で作ったチャーハン
ごはん同士がくっついて、まとまっています。
なので、味にムラが出てしまうんですよね~。
これはこれで美味しいですが、チャーハンらしさは半減。
▼古米で作ったチャーハン
初心者が作ってもパラパラになりました!!
なので、味も均等に回っているため美味しい。
特に、冷めてからの違いが顕著でした!
作ったご自身は、いかがですか?
「古米の方が、本当に作りやすかった!
僕みたいな男性初心者でも、古米ならチャーハン成功しやすいと思います」
味付けをするので、少し臭くなってしまった古米でも美味しく食べられますね!
古米vs新米どっちが美味しい?
~すし飯編~
「海鮮どんぶり」や「手巻き寿司」が、
ご家庭での”すし飯”の出番!
今回は「ちらし寿司」で比較してみたいと思います!
すし飯の作り方
①ごはんを少し硬めに炊く
②酢・砂糖・塩を器に入れて混ぜ、すし酢をつくる(溶け切らなくてOK)
③バットや大きなボウルに炊き立てのご飯を入れ、②のすし酢を数回に分けてまんべんなくかけながら、切るように混ぜる
▼「すし酢」参考分量(1合あたり)
酢=大さじ1.5 砂糖=大さじ1.5 塩=小さじ1/2
新米/すし飯
新米にすし酢を混ぜてみると…
う~ん、なんか重い感じ。
切っても切っても、逆に、ごはんのまとまりが出来てしまう感じ。
チャーハンの時と同じですね~。
ごはんに粘り気が出てきてしまいます…。
古米/すし飯
古米でやってみると…
ご飯を切るのが軽い!
さくっと全体にすし酢が回ります。
米1粒1粒にすし酢をまとわせることができる!
作ってみると、手応えが全然違うのが分かります。
出来たすし飯を食べ比べしてみると…
・新米…ダマになった米に味がついてない
・古米…ちゃんと1粒1粒の中に味が浸透している
おぉ~!
こんなに違いが出るものなんですね!
古米vs新米ちらし寿司を食べ比べてみよう!
古米、新米それぞれで、ちらし寿司に!
具材を混ぜ込んで飾っていきます。
完成~!
では、実食です!!
▼新米で作ったすし飯/ちらし寿司
ごはん同士がくっついて、粘り気も出ていますね。
箇所によって濃かったり薄かったり、すし飯の味にバラつきが…。
▼古米で作ったすし飯/ちらし寿司
サラッとしていて食べやすい!
すし酢もしっかり米粒に馴染んで、浸透している感じ!
これも断然、古米の方が美味しい!
一緒に試食したメンバーからも
「古米のちらし寿司おいしい~♪」
と、大好評でした!!
検証結果
すし飯やチャーハンには、確かに古米の方が向いていました!
やはり調理法に合わせて古米を選ぶと良いんですね!
カレー、オムライス、ドリア、丼もの、濃い料理にも古米の方が良いとのこと。
パエリアや東南アジア料理にも古米が合いそうですね。
これからは私も、古米を上手に選びたいなと思います!
今回は、古米の美味しい炊き方や、古米の使い方について教えていただきました。
パラパラと粒がほぐれて味が浸透しやすい、古米。
日本の食は、古米の方が合う料理が実に多いんです!
「古米=まずい・臭う」というイメージは間違い。
正しい保存方法で保存し、1か月で食べきれる量を購入しましょう。
それでも古米臭がしてきたら…?
次は、古米が匂ってきたときの対処方法を、検証したいと思います!