地域によって、お雑煮にはさまざまな形があります。全国各地で作られているお雑煮は、その土地の文化や食材を取り入れているご当地料理です。共通しているのは、おもちが入っていること、そして出汁を使っていることです。
例えば関東なら、かつお出汁に角もちを入れます。そして関西なら味噌ベースになり、もちは丸もちです。ほかにも地方によってお雑煮は姿を変えます。出汁の違いやもちの入れ方、鶏肉や魚が入っているか、そしてどんな野菜が入っているか、お雑煮の世界はとても広く興味深いものです。
ここでは特に野菜に注目し、たっぷり野菜の入ったお雑煮の作り方を見てみましょう。
お雑煮に合う野菜とは
お雑煮は郷土料理であり、その土地で採れた野菜が入ります。
その種類は実に多様で、お雑煮という料理の奥深さが表れます。
使われる野菜の中で代表的なものはみつばや大根、サトイモ、にんじん、ごぼうなどです。
これらの野菜に加え、小松菜やほうれん草、白菜やキャベツなどもお雑煮に入れることができます。
地域により、何を入れるのかが変わります。
地域によってさまざまなお雑煮の出汁
出汁の取り方もさまざまです。
その土地で採れる野菜を具材にすることが多いため、それぞれの野菜がより引き立つ出汁が使用されます。
中でも代表的なかつお出汁は、どんな野菜にも合いやすいため、全国的によく使われています。
例えば新潟では、ニンジンや大根などの野菜に加え、サトイモ、長ネギなどの野菜もたっぷり入れ、イクラやサケを入れる豪華な親子雑煮があります。
ほかにも愛知では、もち菜という尾張地方で採れる青菜を具材にしたシンプルなお雑煮がありますが、このお雑煮にもカツオ出汁が使われています。
一方コンブ出汁と言えば、福井地方のかぶら雑煮があります。
このかぶら雑煮は昆布で出汁をとり、味噌を加えた汁に、カブを入れます。
福井地方でカブは、「株を上げる」といった意味から、縁起の良い野菜とされているようです。
それぞれの土地で採れる美味しい野菜を上手に生かすためには、出汁が大切になってきます。
カツオや昆布などをはじめ、アゴや煮干しなどさまざまな出汁とお野菜を合わせてお雑煮を作ってみると、ひと味違ったお雑煮を味わうことができます。
お雑煮の作り方
ここでは基本的な出汁の一つ、昆布とかつおの合わせ出汁をご紹介します。
2種類の食材を使いますが、慣れてしまえば難しいものではありません。
どちらか一方のみよりも、旨みが凝縮され、より深い味わいのお雑煮を作ることができます。手順は次の通りです。
1、寝る前にお鍋に水をはって、昆布を1枚入れておきます。
2、次の日、その鍋を火にかけて、沸騰する直前に昆布を取り出します。
3、昆布を取り出したら、かつおぶしを一掴み鍋に入れます。
4、沸騰したら火を止め1,2分待ってから、ざるを使ってかつおぶしをこします。
ほかのことをしながらでもできる簡単な作業ですが、味の基本を作る大切な作業です。昆布やかつおぶしを煮立ててしまったり、かつおぶしの量が少なすぎたりすることで、味や香りが左右されるので注意しましょう。お雑煮のベースとなる出汁が取れたら、あとはお好みの野菜とおもちを入れるだけです。
■京都風お雑煮の作り方
一風変わったお雑煮と言えば、京都風のお雑煮ではないでしょうか。
京都では、出汁に白みそを使います。
関西圏以外の方にとってはなじみのない白味噌のお雑煮ですが、白味噌の甘味に合う野菜の美味しさを味わえます。
美しい乳白色のスープは、赤や黒のお椀に盛り付けると、普段と違った雅な雰囲気を楽しむこともできます。
京都風お雑煮の作り方は、次の通りです。
1、サトイモ、大根、ニンジンなどを切って、下茹でする
2、出汁に白みそを加え、ひと煮立ちさせる
3、椀に1,2を盛りつけ、ゆでたもちを入れる
4、みつば、ゆず、削り節などをのせて完成
味噌ベースのお雑煮になじみのない方には、新鮮な料理となるでしょう。
白味噌には、流行りの酵母や乳酸菌、ビタミンやカルシウムなどの、栄養素も豊富に含まれています。
カロリーも低く、食物繊維が腸を綺麗にしてくれるため、女性には特におすすめです。
■お雑煮はいつ食べてもいい
お雑煮はお正月だけの料理というイメージですが、お正月以外の時期でもお雑煮を楽しんでみてはいかがでしょうか。
野菜をたっぷりと使ったお雑煮は栄養価に優れ、野菜が苦手な子どもも食べやすい料理です。
野菜の種類や出汁を変え、色んな組み合わせでお雑煮を作ることで飽きることなく楽しめます。
地域ごと、家庭ごとにさまざまなお雑煮の姿があり、それだけ多くの食材も使うことができる料理です。
また、作り方をひと工夫するだけでガラリと印象が変わる料理でもあります。
食卓の野菜不足や、余ったおもちや具材を上手に調理するには、とても便利なメニューと言えるでしょう。
今まで入れたことのない具材を入れてみたり、普段とは違う出汁で作ることで、今年の冬は野菜のたっぷり入った新しいお雑煮を味わいましょう。全国のお雑煮を調べてみると、より自分好みのレシピが見つかるかもしれません。