食オタ|食の資格者コミュニティ

牛すじ肉を早く&やわらかく下茹でするには?時短方法を調査!

冬は、煮込みのおいしい季節!

我が家では煮込みに、よく「牛すじ肉」を使います。

固い部位ですが、煮込むとプルプル、トロトロに。


とってもおいしいのですが、難点は
完成までに時間がかかること。

この煮込み時間…
少しでも短縮できないかな?

そこで今回は、牛すじ肉を
「早く&やわらかく調理する方法」
を調査してみたいと思います!

「牛すじ」の基本と処理方法

「牛すじ肉」とは何?

そもそも「すじ肉」ってどんな肉?


牛の部位の絵を描いたので、一緒にチェックしてみましょう!

「牛すじ肉」は、牛のすねや首のお肉のこと。

すね肉やアキレス腱など筋張って固い部位の総称です!

写真のように、骨や筋のような固い部分もあれば

キレイなサシ入り部分もあり。

すじ肉に含まれる豊富なコラーゲンが
煮込んでいくと、ゲル化!

プルプルの食感に変わっていきます。


ほかにも、コンドロイチンや
エラスチン、ヒアルロン酸なども豊富。

肌のハリツヤにも効果がありそうです!

基本の下ゆで方法をおさらい

「すじ肉のゆで方」について基本的な方法を復習しておきましょう!

「すじ肉」というとやはり”牛”が定番。

今回は通販で購入した国産牛すじを使います。

スーパーの精肉部に電話してすじ肉をお願いすることもできます。

圧力鍋を使う方法もありますよね!

ただ、スジ肉の固さがバラバラなので、圧力をかけすぎると溶けちゃうことも。

そのため今回は、普通のお鍋で検証!

下ゆでの手順は4つ。

基本的なすじ肉の茹で方

①すじ肉を水に入れゆでる
②沸騰したらざるにあける
③アクや汚れを水で洗う
④やわらかくなるまでゆでる

では、早速やってみましょう♪

step1
①すじ肉を水に入れゆでる

かぶるくらいの水を入れ、中火にかけます。

おぉ~、アクが出てきた出てきた!!

沸騰し、アクがブクブクと出てきたらざるにあけて水切りです。

step2
沸騰したらざるにあける

step3
アクや汚れを水で洗う

ボウルにためた水、または流水で肉のスキマまで広げて洗います。

このひと手間で、次の工程の際は
アクがかなり減ります。

step4
やわらかくなるまでゆでる

お肉の生臭さを取るため、ネギや生姜を入れてゆでます。

ちょうど良いやわらかさになるまで
弱火で30分~2時間程度。

骨ばっているもの、筋っぽいもの赤身のところ…部分によって出来上がりに時間差があります。

やわらかくなったお肉から取り出していきます。

目安となるゆで時間

どれくらいの時間で柔らかくなったか、
見ていきましょう!

●脂身
30分程度ですでにふわふわ。

●赤身
赤身も30分で包丁で切れますがまだ固い触感です。

1時間以上ゆで続けたら赤身もふわふわに!

●骨ばった部分

1時間では包丁が入らず…。

カットできるようになるまで結果的に、2時間ゆで続けました。

2時間はつらいなぁ~。

この「ゆで時間」を短縮するべく
色々検証してみたいと思います!!

すじ肉実験①:【漬け込み】キウイVS大根

以前「鶏むね肉を柔らかくする方法」を実験したことがありました!

その中で効果があったのは、「漬け込む」という方法♪

…これは、スジ肉にも使える?!

「漬け込み」で、スジ肉の下ゆでにかかる時間は短縮できるか?

鶏むね肉もそうだったように、スジ肉も
「タンパク質分解酵素」が効果的??

そこで、2つの食材をピックアップ!

漬け込む食材
●キウイフルーツ
●大根

キウイには「アクチニジン」
大根には「オキシターゼ」

どちらもタンパク質分解酵素がたっぷり含まれています!!

牛すじ肉は300g、同量を用意。

キウイ、大根は同じ分量ですりおろしてスジ肉と保存袋へ。

ちなみにキウイは1個分、大根は5cmほどでした。

このままひと晩漬け込みます!

キウイフルーツ

一晩あけて…。

まずはキウイに漬けたスジ肉から、茹でてみたいと思います!!

触ってみると…、おお?!
何もしていない牛すじよりも柔らかい!?

これは期待大♪

くっついたキウイのつぶつぶが少し気になりますが…。

キウイの粒は、後ほど、アクと一緒に洗えば平気ですよね!

まずは、アクを出すためのゆでる作業。

15㎝の片手鍋に800ccの水を入れ、
沸騰させます。(水は全て同量で検証)

あれ?

普通にゆでた時よりも
アクが少ない気がしませんか?

同じように中火にかけたのですが
通常のゆで方に比べて
トロトロとやわらかなアクです!

すでにタンパク質が分解され始めている証拠かな?

ザルにあけて洗った後、下茹でしていきます!

ゆでている間、ほのかにキウイの甘酸っぱい香りが♪

30分経過

ゆで始めから30分。

ちょっと取り出してみますー。
何も漬け込まなかったものに比べて明らかにやわらかい!

アキレス腱のような固そうな部分も包丁でスパンと切れます!!

ひとくち食べてみるとキウイの香りがほんのりと♪

調味料で煮込むと消えてしまうくらいの香りですね。

試しにもう30分ゆでてみましょう。

1時間経過

ゆで始めから1時間経過。
すごく小さくなってしまいました(涙)

これじゃカレーやおでんで煮込んだら存在感がなくなっちゃうかも…。

計量してみたところ…。

えっ、145g!?

もとは300gのすじ肉です。

半分以上溶けてしまったということでしょうか?
えええ~!もったいない(苦笑)

大根

大根おろしに一晩漬けておいた牛すじ肉はどうでしょうか?

おろし汁も一緒に入れたのでかなり水っぽいですね。

キウイと同様に最初のゆでこぼしをします。

わ!…アクの量がすごい!!

大根おろしと一緒にモコモコのアクがどんどん上がる!

吹きこぼれそうに!

何も漬けてない時ともキウイ漬けの時ともアクの出方が異なりますね!

ゆでている間、生臭い匂いは全然気にならず。

これも大根おろしの効果かな?

30分経過

ゆで始めから30分たちました。

キウイに負けず劣らずこちらもやわらかそうな仕上がり。

筋が入った大きな塊をカットするとプルプルになったお肉が見えます♪

水から普通にゆでた時より
明らかに早いです!

1時間経過

ゆで始めから1時間。

多少小さくなりましたがアキレス腱の存在感はバッチリ。

グラム数は3割程度減。

キウイよりも溶けていないようです。

【結果】漬け込み実験

ここで実験した結果をまとめてみます。

キウイフルーツ

■アク
少なめ
やわらかいアクの泡が上がってくる
■ゆで時間
30~40分程度で食べ頃
(1時間は長すぎる印象)
■香り、風味
キウイの甘酸っぱい香り
調味料で煮込めばそれほど気にならない
■出来上がり
タンパク質分解が強いためか
元のグラム数の半分程度に小さくなる

大根

■アク
多め
大根おろしに吸着するためか、モコモコのアク泡が上がる
■ゆで時間
30~40分程度で食べ頃
(1時間は長すぎる印象)
■香り、風味
スッキリとした大根の香り
生臭さは感じない
■出来上がり
元のグラム数の3割程度減

何も漬け込まない時は下ゆで時間は1時間でした。

キウイ・大根ともにやわらかく食べ頃までになる時間は
半分程度に短縮!

ひと晩漬けこむだけでこの結果はスゴイですね!

…と言うことで、結論!!

キウイ・大根おろしに一晩漬け込めば、どちらもスジ肉の下ゆで時間は短縮できる!
香りや出来上がりは、大根が勝利!!

肉オタ的には、大根に漬け込む方がオススメです♪

キウイ・大根おろしの漬け込み対決。

劇的な結果が出たわけですが一晩、漬けなきゃというのも…。

すじ肉実験②:【下茹でに入れる】お酢VS炭酸水

ひと晩も漬け込まずに時短できる方法はないかな~?

ん?

「タンパク質を分解するもの」と
一緒にゆでてみたら!?

「タンパク質を分解するもの」を入れて下茹ですると、時間短縮できるか?

すじ肉を下茹でするときに一緒に入れるだけ!

これで柔らかくなったら良いですよね!

ということで、用意したのはこちら!

下茹でに入れるもの
●酢
●炭酸水

お酢の「酸」はお肉のコラーゲンをやわらかくする効果があるとか。

炭酸は、コーラ煮やビール煮など煮込み料理にもよく使われますよね。

「お酢」と「炭酸水」で実験です!

今回も同じそれぞれ300gのスジ肉。

まずは普通にそのままゆでこぼしてアクをとります。

そしてここからが本題!

それぞれ酢・炭酸水を入れて下茹でしてみましょう!

お酢で下茹でに挑戦!

酸味が肉に移りすぎるのを防ぐためお酢の割合は「1割」に。

水:720cc
酢:80cc

ねぎやショウガの分量もどの実験でも同量にしています。

これで茹でていきましょう!

キウイ・大根の漬け込みでは30分が目安でしたね~。

沸騰が近づくにつれ、ツーンとした酸味が鼻をつきます。

お酢入れすぎたかな…?

でも、加熱すれば酸味は飛ぶはず!
きっと大丈夫でしょう。

30分経過

ゆで始めから30分がたちました。

見て下さい!!

これまで試した下ゆでで、一番脂が浮いています!

お酢の効果ですじ肉の脂が分解されたのかも!

ゆで具合をチェックしてみると、なかなか柔らかい仕上がりです♪

骨ばった部分もだいぶ火が通っている感じ!

それでも、キウイや大根に比べたらまだ固い印象です。

1時間経過

ゆで始めから1時間。

断面がプルプルの仕上がりに!

酸の匂いはだいぶ薄くなったのでひとつ食べてみると…?

ああーー!
酸っぱい(涙)

1時間加熱しても酸味は飛ばないのですね。

これじゃ、料理には使いにくいなぁ。

「さっぱり煮」など、お酢をたっぷり使った料理なら良いかもしれませんね。

炭酸水

続いては炭酸水でゆでてみます!

炭酸水100%だと炭酸ナトリウムの変化ですじ肉が苦くなってしまうかな?

水と1対1で割ります。

水:400cc 炭酸水:400cc

鍋の中はずっとポコポコと気泡が上がっています。

少し苦味のある香りが漂うほかはとくに変わりはありませんね…。

30分経過

ゆで始めから30分後です。

キウイや大根とは違い固そうな印象です…。

包丁でカットを試みましたが刃が入っていかないですね~。

1時間後

ゆで始めから1時間。

トングで持ち上げるとやわらかくなった感じ。

うーん。
これでは水から下ゆでしたのと所要時間は変わりませんね。

ひとつ食べてみたところうっすらと炭酸の苦味を感じます。

通常通り水からゆでるのとかかる時間は同じです。

結局、お酢も炭酸水も失敗な結果になってしまいました…。

【結果】下茹でに入れる実験

ここで実験した結果をまとめますね。

■アク
ほぼなし。浮いてくる脂は多め
■ゆで時間
時短ならず!!
1時間程度で食べ頃に
(30分では硬い印象)
■香り、風味
香り、風味ともに強い酸味あり
酸っぱくて食べるのが難しい
(お酢を使う料理ならOK?)

炭酸水

■アク
ほぼなし
■ゆで時間
時短ならず!!
1時間程度で食べ頃に
(30分では硬い印象)
■香り、風味
香りはとくになし
食べるとかすかな苦味あり
(調味料で煮込めばさほど気にならず)

どちらもダメでしたね~。

…と言うことで、結論!!

お酢や炭酸水を入れて茹でても、下茹で時間は変わらない!

お酢は強い酸味、炭酸水はほのかな苦味が気になる。

調味料を入れてゆでても時間短縮には効果なし。

だったら水で茹でたら良いですよね…。

まとめ

時間のかかる牛すじ肉の下茹で時短できないか実験してみました。

まとめてみましょう!

[実験1]漬け込み(キウイ・大根)

水からゆでるより時間短縮効果あり!

キウイ、大根ともに…

下ゆで時間 半分の30分に短縮!

キウイのつぶつぶを取り除く手間やその後料理に使うことを考えると…

「大根おろし」がオススメ!

 

[実験2]下茹でに入れる(酢・炭酸水)

お酢、炭酸水ともに水からゆでるのとほぼ変わらず。

お酢は多少時間短縮できますが、酸味が強いため料理の幅が限定される。

お酢、炭酸水ともに
時短効果はなし!!!

ということで…。

ひと晩漬け込む時間はかかるものの

・おいしい
・手間が少ない

の2点で考えると、良い方法はコレ!

スジ肉の時短!下ゆで方法

「大根おろし」にスジ肉を一晩漬けてから下茹でする!

ゆで時間は、普通に茹でると1時間のところ30分で柔らか~に!!

結果的にも、食べてみた感想としても、
大根おろし漬け込みはおすすめです♪

すじの脂をのぞく方法

すじ肉の脂が気になる方!

…分かります。

そんな時はこの方法で取り除けます!

保存容器に入れて、落としラップを。
この状態で、冷蔵庫に数時間。


脂分が固まって浮いてきます!

スプーン等でこそげ取ればOK♪
だいぶ脂を取り除けますよ~。

すじ肉を美味しく食べよう

ちょっと苦味の残った炭酸水すじ肉はカレーの具材に。

甘みが少し残ったキウイのすじ肉は
どて煮に。

大根で煮た牛すじはおでんにしました~!!

すじ肉を入れると脂の膜効果もあり、冷めにくくなる!とっても温まります!

酸っぱいお酢の牛すじ肉は「さっぱり煮」にする予定です♪


安くて栄養もあり、色々な料理に使える牛すじ肉。

難点は「下ゆでに時間がかかる」のみ!

そんな下ゆでを時短する方法を探ってみました。

寒い日にコトコト煮込んだおでんやカレー、美味しいです!

みなさんもすじ肉をラクラク調理してぜひいろんな料理に入れてみて下さい♪

次回の食オタnoteもお楽しみに!

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