生魚は、買った当日に調理する、
食すのが理想。
これがどうも「魚ってめんどくさい」
というイメージを生んでいるような…。
魚っておいしい!
魚料理って面白い!
そんなことを伝えたくて、
今回のテーマはこれに決定!
魚の保存食「アンチョビ」!!
スーパー保存食「アンチョビ」
◆日本人の魚離れ
魚はもたない、傷みやすい。
肉と比べて腐敗のスピードが速いことは
紛れもない事実。
できれば買ったその日に
調理したり食べたりしたいもの。
だから、冷蔵庫にとっておくこともない。
しかも、焼くか煮るかになりがちで
レパートリーが限られる。
このあたりに、魚離れの一因が
あるんだろうなと私は思ってます。
◆アンチョビとオイルサーディン
そんな魚のマイナスイメージを
くつがえす救世主がアンチョビ!!
アンチョビとは?
カタクチイワシ科の小魚のこと。またそれを塩漬けさせて発酵させたのち、オイル漬けにした保存食のこと。
保存食のアンチョビは、あまりそのまま食べません。
言ってみたら、調味料のような感覚で使います。
パスタやピザの風味づけにしたり、
ペースト状にしてソースやドレッシングにしたり。
バーニャカウダのソースにはアンチョビが使われていますよね。
ところで、少し話はそれますがアンチョビと似たようなものにオイルサーディンもあります。
オイルサーディンとは?
真イワシなどの小魚類(サーディン)をオイルで煮込んだもの。
そう!
アンチョビとオイルサーディンは全く別ものなんです!
魚の種類も微妙に違うという点も挙げられますが、それよりも決定的に違う点がこちら!
◆アンチョビとオイルサーディンの違い
アンチョビ | 生のまま(発酵させている) |
オイルサーディン | 加熱している |
生と加熱済みとは全然違う!!
右がアンチョビで左がオイルサーディン。
◆弱い魚「イワシ」の保存食!
イワシを漢字で書くと「鰯」。
魚偏に弱と書きます。
それくらい弱い魚で、水揚げするとすぐに死んでしまうそう。
傷みも早いです。
アンチョビもオイルサーディンも古くからある保存食。
傷みやすいこそ、保存方法を昔から考えられてきたのかも。
そんなふうにアンチョビを考えた発明家に思いを馳せながら、
早速仕込みの開始です!
自家製アンチョビを作ってみよう
まずはざっくり作り方を。
塩漬け(発酵)→オイル漬け
え…。かんたん…。
これなら私でも出来る!!
準備編
アンチョビの原材料は「カタクチイワシ」。
実は!旬は寒い時期。
しかも、一般にはあまり流通しません。
事前に魚屋さんに予約して仕入れてもらわないといけない代物…。
でも大丈夫!
小ぶりな真イワシでも代用OK!
しかも真イワシはちょうど5月ごろから秋ごろまでが旬。
今の時期手に入りやすいです。
なので、今回は小ぶりな真イワシを使うことにしました。
光っています!イワシ!!
<手順①> 魚を下処理する
イワシは、魚屋さんで三枚卸にしてもらいました。
ひとつひとつ自分でさばこうかと考えたのですが…
手際よくさばく自信がなかったので。
さて、では早速これを塩づけ…の前に!
皮をむかなくは!!
皮は、するするっと頭の方から。
薄皮をはぐように。
これが結構気持ちいい(笑)
皮をむくだけならパパっとできます。
全部剥けました~!
塩漬け(発酵)編
今度こそ、塩漬けです!
せっかく手作りするなら、市販にはないものを!
ということで、今回は
A ノーマル(塩だけ)
B ハーブ
C ニンニク&唐辛子
の3種類のアンチョビを作ってみることにしました。
<手順②> 塩で漬ける
A:ノーマル
容器に塩を敷いてから、
水気をしっかりふき取った
イワシをのせて。
さらに塩をのせて。
何層か重ねたら上からラップをして
空気に触れないようにし、蓋をします。
あとはこのまま冷蔵庫で保存。
うぉぉ、簡単すぎる……!!
さ、この調子で、ハーブアンチョビ、
ニンニク&唐辛子アンチョビも
仕込むぞ!!
B:ハーブ
ハーブは、私の好きな
・ローリエ
・タイム
・ローズマリー
を使いました。
ノーマルのときと同じように、
容器にイワシと塩で層を作ります。
途中、手でちぎったハーブも入れます。
イワシのフィレ17枚に対して、
上の写真のハーブを半分使いました。
ん~いい香り!
これは、おいしそうな
アンチョビが仕上がる予感!
C:ニンニク&唐辛子
薄切りにしたニンニクと
種を出して小さく切った唐辛子を用意。
イワシと塩と一緒に容器へ。
こんなものかなぁ…?
たくさんの方が香り良く仕上がるか、
このまましばらく寝かすこと考えると、
入れすぎると香りが強くなりすぎるか。
とりあえず、17枚のイワシのフィレに、
ニンニク1片と唐辛子1本を使いました。
<手順③> 発酵させる
あっという間に
3種類のアンチョビの仕込み完成!
このまま、冷蔵庫で寝かします!
おいしくできますように!
発酵期間 1~2か月
発酵期間は1ヶ月から2ヶ月です。
今回は1ヶ月間寝かしました。
発酵期間が長いほど、
うまみに深みが増す…と聞くけど、
今回は記事の締切もあったので(笑)
でも…
傷みやすいイワシですよ。
たっぷり塩をまぶしたとはいえ、
腐ってなければいいんだけど…。
ドキドキ。
迷ってても先に進めない!
まずはノーマルタイプから発酵具合をチェック!
A:ノーマル
おお!全然嫌なにおいがしない!
仕込んだときは、生魚特有の生臭さがあったけど、
全然気になりません!
これは、期待が膨らみます!
B:ハーブ
ハーブのすっきりとした香りが漂い
このままでも十分おいしそう!
C:ニンニク&唐辛子
こっちもいい香り~♪
塩漬けはクリアしました!
次はオイル漬けだ~!
注意:発酵させる際、ご自身の責任の下行ってください。少しでも変なにおいがしたら中止してください。
オイル漬け編
オイル漬け自体は常温で1週間以上みておけばOK。
それ以上漬け込んでももちろん大丈夫!
常温が心配、という場合は
冷蔵庫に入れましょう。
冷蔵庫なら2週間以上寝かせます。
<手順④> 保存瓶の煮沸
食べごろを迎えた後も、長期間保存できるアンチョビ。
できたら入れ物は、プラスチック製よりガラスやホーロー製がおすすめ。
そして、しっかり煮沸することが保存食を詰める前の鉄則!
ぐらぐらしている熱湯に20分間。
瓶も蓋もしっかり煮沸!
<手順⑤> オイルに漬ける
塩床から取り出したイワシ。
余計な塩や水分は優しくぬぐい取ります。
塩漬けする前と比べると、水分が出て身がしまってる!
写真を並べてみるとよくわかります!
これを瓶につめていきますよ~。
市販の瓶詰アンチョビのように
ぐるぐると巻いて入れてみました!
グルグルイワシ♪
なんか、本格的っぽい!?
そして、オリーブオイルをたら~り。
イワシが隠れるくらいたっぷりと!
Bハーブと、Cニンニク&唐辛子も
同じように瓶詰してオイル漬けに。
ハーブも一緒に!
ニンニク&唐辛子も一緒に入れて
オイル漬けに。
<手順⑥> 10日寝かせる
オイル漬けできた!
アンチョビ完成までもう一息だ!
常温で10日寝かせたら、アンチョビの完成です!!!
完成したアンチョビを実食!
常温で10日寝かせたものがこちら!!
塩漬け、オイル漬けともに最短で仕込んだアンチョビ。
かなり身がしっかりした状態です。
実際食べてみると…
うん、噛み応えがあります。
これなら、おつまみとして
食べられるかも!!
ハーブとニンニク&唐辛子は
それぞれちゃんと香りが残っていたのも
嬉しい!食欲がそそられるー!
特にハーブのアンチョビは、
口に入れるとハーブの爽やかさが
鼻を抜けるように感じられました。
新しい食べ物に出会ったような感動が!
いける!
イワシ以外のアンチョビに挑戦
イワシのアンチョビ。
この保存方法って
別の魚でも通用するんでしょうか!?
ということで試してみました!
使った魚は…
じゃん!
今がおいしいアジです!!
アジも魚屋さんで3枚卸にしてもらったものを購入。
皮をむくところからスタート。
なんか大きいな…。
そして厚い。
ということで4等分にしました。
これを、イワシのときと同様に
塩漬けに。
イワシのハーブアンチョビが
いい感じだったので、
アジもハーブを加えてみました♪
このまま冷蔵庫で1ヶ月間
寝かせてみたら…
しっかり熟成されているかな。
ドキドキ。
おおお!
アジもすごくいい香りがします!
イワシよりも身が大きかったためか、
水分もたくさん出ていました。
※ちなみに、この水分は濾して冷蔵庫で寝かせると、ナンプラーに!今回イワシでは仕込んだ数が少なく、あまり水分があがりませんでした。残念!
塩と水分をしっかりとって…
オイル漬け~♪
あれ、うまく入らないな(笑)
それもそのはず。
アジは肉厚なので、薄いイワシのように
ぐるっと巻くのは難しい……!
保存容器の選定、ちょっと失敗したな。
でもなんとか入ったので、
ここにオイルを加えて寝かします!
そして10日後。
完成したのがこちら。
アジのアンチョビだ!
パッと見は、アンチョビと言われても
ピンとこないですね。
お味は…
ふむ。
あまりインパクトがなく、
正直なところ、これなら普通に
お刺身で食べた方がおいしいかも。
これが率直な感想。
塩やオイルに負けてしまっている感じ。
イワシの場合は、魚の旨味がちゃんと残ってたのに。
アジはこんなふうに保存食にすると
その良さがいかせないのかも、
と感じました。
◆結果
イワシ以外でのアンチョビは、作れないこともないけれど、保存食にしないでそのまま食べた方が美味しい魚もある!
まとめ
自家製アンチョビ、
意外と簡単に作れてビックリです!!
アンチョビを作ってみた感想
・超簡単!!
・自分で好きな風味にできる!!
次回に活かしたい反省点
・しっかり保存させようと思って、塩を使いすぎた
・オイル漬けの前に塩抜きしなかった
塩を使い過ぎたため、
おいしいのでそのまま食べたいのに、
途中で塩辛くなって食べきれない…。
次に作るときは、そのまま食べられる
塩気マイルドなアンチョビを作りたい!
今回は、イワシのスーパー保存食、
自家製アンチョビ作りに挑戦しました!
魚は、扱いが難しい印象もあるけど、
工夫次第でいろんな楽しみ方が可能。
保存食なら、仕込む楽しさも満喫できます♪
ぜひみなさんも、自家製アンチョビ挑戦してみてくださいネ!
次回の食オタノートもお楽しみに♪