今回の野菜オタクNOTEは、、、
東京都葛飾区の静かな住宅街にあるこの建物が舞台です!
みなさん、何だと思いますか?
なんと!
このクリーム色の壁の向こう側は、、、
植物工場なんです!!!
……植物工場って、
もっと田舎の大きな建物かと思っていました、、、
この都会の狭い敷地の中での農業には、
ハイテクノロジーと、
人間の知恵と、
野菜の未来がつまっていました!!!
さぁ、一緒にその中をのぞいてみましょう!
レタス工場を見学!
今回訪れたのは、東京都葛飾福祉工場です。
お話をうかがった清水課長と遠藤課長
無菌室の植物工場内に入るためには、
もちろんこんな重装備に!
誰だかわかりませんが、、、
実は私、この格好に憧れておりまして、、、
内心は心躍っております!
見学準備
「食品なので、髪の毛1本でも入れられないんです!」
とおっしゃられていた遠藤課長の真摯な姿勢に感動です!
まず、第一扉を入ると
ブワァ〜と強烈なエアーシャワーが!!!
これも経験してみたかったので、、、
そう!心躍っております!!!
エアーシャワーが完了すると、ようやく第二扉が開きます。
中に入って、まず目に飛び込んできたのが、
なんとも美味しそうなレタス!!!
見るからにシャキシャキで、みずみずしそう〜〜〜
無菌状態を保つために、換気扇もついていないとのこと。
気温と湿度が制御されており、
高原と同じ20〜23度が保たれているそうです。
東京都の一角に高原を再現できることが、
植物工場の魅力ですね!
野菜の成長に必要なのは、
「照明」「二酸化炭素」「肥料」「風」です!
と遠藤課長。
では、それぞれの工夫を教えて下さい!
照明=光
植物工場の中には、400本のLEDが設置されているとのこと。
「LEDは熱をもたないので、レタスにとって良いことなんです!」
と遠藤課長。
レタスへの愛情がこぼれおちそうな遠藤課長の笑顔です!
、、、なるほど〜
技術の進歩が野菜に優しくなっているのですね〜
「結構暗いんですね、、、」
とのんきな質問をした私に
「今の時間は野菜たちにとっては夜なんですよ!」と。
電気代が昼の1/3位安い夜間に照明をつけて、
野菜たちに昼と認識させているとのこと。
そんな努力のおかげで、安価なレタスが食べられているのですね!
かつて植物工場がつぶれていった理由=電気代がかかる
でしたが、、、
LEDと夜間電力のおかげで、
現代はこのように素晴らしい植物工場が成立するんですね!
LEDの高さは調節できるのだそう!
発芽したばかりの芽は背が低いので、
5㎝位の高さに調節して至近距離から照射しているとのこと!
太陽を自在に扱っている感覚!
技術って素晴らしいですね!
肥料
「ちょっと上を見て下さい」と遠藤課長。
天井には管がはりめぐらされております!
「ポンプで吸い上げられた溶液が、
天井にある管から流れてきて、
レタスのまわりを一周したあと下の配管に戻り、
濾過されてまた循環していくんです!」と。
この溶液は、露地栽培の肥料に匹敵するものと、
適度な水の両方がちょうど良く入っているすぐれもの!
常に最高の栄養をキープされているシステム!
遠藤課長の誇らしそうな表情が、なんとも素敵です!
もちろん、人間には害のない溶液だそうです!
二酸化炭素
このシステムが最も面白かったです!!!
ここまでオートマティックな植物工場。
もちろん二酸化炭素も!と思いきや、
なんと、中で作業している
人間が出している二酸化炭素でまかなえるとのこと!!!
ただ、昼間5〜6人が、数時間作業していないと足りなくなる、、、
と決まっているのだとか!!!
……ということは!
今日は私たちがお邪魔しているので、
夜にはたっぷりの二酸化炭素がありますね〜〜〜
少しはお役にたてて良かった♪
と、少し多めに息をはいてきました(笑)
連休などの時には、
ボンベで二酸化炭素を出しているそうです!
「今は1600ppmあるので、朝まではもちますね〜」
と嬉しそうな遠藤課長です。
風
工場内には25台の扇風機が設置されていて、
空気を循環させているそうです。
風がないと、カビがはえて枯れてしまうのだとか!!!
発育環境の工夫がわかったところで、
レタスの播種から収穫までを教えていただきましょう!
播種(種まき)
こちらがまいたばかりの種です。
ウレタンマットの一つ一つから、
なんとも可愛い芽が出ております!
「発芽が一番難しいんです!
溶液は使用せず、水だけで発芽するのですが、
どのタイミングでどれくらい水をまくかは
人間の判断で行います!」と。
水にたっぷりにつかっていれば発芽する訳じゃないんですね〜〜〜
全てがオートマティックな植物工場ですが、
発芽までの5日間は遠藤課長の職人技をフル活用しておられるなんて!!!
育苗
播種から5日後に育苗棚に移動されます。
ここでレタスたちは30日間成長し続けます!
途中、1ユニット50ポットだったレタスは、
1ユニット25ポットに移動となります。
倍の広さのお家にお引越しという訳です。
だいぶ大きくなりましたものね〜〜〜
このお引越しの時にも人間技が!
端にあったレタスは成長が遅いので、
引越す時には、真ん中に移動してもらえるとのこと!
どのレタスを、どこに位置に引越すかは、
人間の勘が頼りなのだとか!!!
……そして、ここで悲劇が、、、
なんと成長かんばしくないレタスたちは、調整棚へ送られるそう、、、
その調整棚を見ると、、、
……たしかにちょっと好き勝手に成長してしまった感じ、、、
でも!この調整棚にきてからも成長は続き、
いつの間にか綺麗な形のレタスになることもあるのだとか!
その場合は、栽培棚に戻されるそう!!!
調整棚でのびのび成長したおかげで、
頭角をあらわし、自分の役目にもどるレタス!
「あきらめちゃダメ!がんばって!」
と思わず声をかけた私です♪
収穫
育苗棚で30日間成長を続けるレタスたちはどんどん大きくなり、
1ユニット8ポットという更に大きなお家に入り、
栽培棚にお引越しとなります。
こんなにも大きくなって、もう出荷できそうですが、
この栽培棚で、更に15日間を過ごします。
そしていよいよ収穫です!!!
収穫の時に、はじめてレタスに人の手がふれるとのこと!
「人の体温で、レタスがやけどしてしまうんですよ〜」
と遠藤課長。
やっぱりレタスへの愛があふれております!!!
一つ一つ手作業で袋つめされて、
固定のスーパーへ出荷されていくそうです!
愛情を注いでいるレタスの魅力を、遠藤課長に伺いました。
植物工場野菜のメリットは何ですか?
野菜愛にあふれている遠藤課長ですから、
メリットもあふれるほどにたくさんあります!!!
*安心/安全・・・農薬不使用
*かんたん洗浄・・・清潔な工場生産のため、サッと水洗いでOK
*長い鮮度保持・・・無菌に近い状態での栽培のため、鮮度が長持ち
*やさしい食感・・・硝酸態窒素の低減により、苦味が少なく、柔らかいレタスが栽培可能
*安定供給・・・天候に影響を受けないため、一定品質の野菜を安定供給可能
たしかに、どれも魅力的ですね!!!
まとめ
・都会の狭い敷地においても植物工場は稼働可能
・24時間自動空調管理システム等各種のプログラムにより制御されている
・LED照明、夜間電力等を利用している
・播種から収穫までは、約45日
・農薬不使用野菜を、一定品質で、安定供給できる
■見学を終えて
こちらの東京都葛飾福祉工場は、
障がいのある人の職業対策の一環として、
45年前に作られた国内初の身体障がい者福祉工場とのこと。
2012年に民間移譲され、
植物工場以外にも、防災用品の製造などを行っているそうです。
植物工場は約1年前に開設され、
働いている方々の平均年齢は21歳。
みなさまお休みをされることもなく、
週5日間フルに出勤されるとのこと。
「仕事をできる喜び、来る場所がある喜びを彼らは感じています。
スーパーなどに、自分の作った野菜がおかれ、
それを買っていく人を見ると嬉しくなると言ってくれますよ!」
と遠藤課長。
「機械科卒なのに、今は農業のことばかり考えています。
夢は、更にユニットを増やして、違う野菜も育てたいですね!」
とお話くださった遠藤課長の笑顔は、本当に輝いていました!!!
太陽光をたくさんあびる野菜と同じくらいに、
一定品質を安定供給できる植物工場の野菜も必要であると
確信できた今回の見学でした!
植物工場には、
ハイテクノロジーと、
人間の知恵と、
野菜の未来がつまっていました!!!
貴重な体験をありがとうございました!!!
施設内の売店でフリルレタスを購入!
フリルレタスがあるだけで、フォトジェニックなサラダが完成します!!!
これからのクリスマスパーティーで、
ぜひ使ってみて下さい!!!
その時は、どこで作られているのかをチェックしてみて下さいね!