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捨てないで!野菜の皮の知られざる栄養効果

野菜・果物の皮部分は栄養豊富!

普段皮ごと野菜や果物を食べることは少なく、皮やヘタなどは捨ててしまいますが、実はこれらの部分に多いとされる栄養素「フィトケミカル(ファイトケミカル)」。
英語の読み方はフィトケミカルですが、最近はファイトケミカルと呼ばれることも多くなりました。

フィトケミカルとは、ギリシャ語で植物を意味する「phyto(フィト)」と英語で「化学物質」を意味する「chemical(ケミカル)」を合わせた造語で、野菜や果物の中に含まれている化学物質のことを指します。

若返りの成分として有名になった「ポリフェノール」がファイトケミカルのうちの一種類だと言うと分かりやすいかもしれません。

第7の栄養素として野菜の皮に豊富に含まれるファイトケミカルを効果的にとる方法をお伝えします。

≫ 野菜の栄養素

野菜の皮は栄養の宝庫?!

ポリフェノールやカテキン、ルテインやアントシアニンなど植物の成分がファイトケミカルになります。

見つかっているファイトケミカルはポリフェノールだけでも数千種類あり、効果効能は様々です。例えばワインに含まれるポリフェノールはフラボノイド系で苦味や渋味を作る成分で身体を若返らせる効果がありますが、リンゴの皮に含まれるペクチンには整腸作用があることが知られています。

この様に、ファイトケミカルと言ってもそれぞれの野菜や果物の成分にそれぞれの効果効能があり、種類が多いので一概に何に良いかというのは難しいのですが、身体に良い成分であることはお分かりいただけるのではないでしょうか。

植物は自分で動いて身を守ることができないため、虫や毒からの被害から身を守るために皮が発達しました。そのため、普段は捨ててしまうような皮の部分に多くのファイトケミカルが含まれます。


ビタミン成分まるごと食べよう〜ベジブロスのすすめ

ベジブロスが注目されている

ニンジンタマネギのヘタ、リンゴやレモンなど、果物や野菜の皮やくず。毎日の料理ではどうしても出てしまいますよね。使い用途がなくそのまま捨ててしまう方も多いかと思いますが、実はこれらの食べることなく捨てられてしまう部分には豊富な栄養素が詰まっているのです!

最近は、野菜や果物の皮や種など、本来なら捨てている「野菜のくず」を使った野菜のだし「ベジブロス」が注目されています。

ベジブロスとは、「ベジタブル(野菜)」+「だし(ブロス)」で野菜だしのことです。

野菜のくずを使ってだしを取る方法はフランス料理のブイヨンスープにもあります。ブイヨンスープというと一般的には野菜を煮て作りますが、野菜くずを使ったブイヨンスープもあり、野菜のうまみが楽しめるスープになります。優しい味で和洋問わずどんな料理にも使える上、製氷機に入れて冷凍保存をすることもできます。

本来なら捨ててしまう野菜のくずには、ファイトケミカルが含まれているのです。ニンジンの皮にはβカロテン、大根の皮にはビタミンC、玉ねぎの皮にはケルセチンなど中身より豊富な栄養を持っているのでこれらを使うことで、おいしいだしができるだけではなく、ファイトケミカルは加熱すると溶け出す性質があるため、煮出すことでフィトケミカルやビタミンなどの栄養素を効率的に摂取できるというのがベジブロスの魅力になっています。

野菜をなかなか食べてくれないお子さんには、ベジブロスを使った料理を出すことで自然に野菜の栄養素を補うことができます。

≪野菜の農薬を落とす方法≫
野菜の皮は農薬が残りやすい部分になります。無農薬野菜を買っている方は泥などの汚れを洗い流せばそのまま使えますが、全ての野菜を無農薬野菜で用意するのも大変なので、農薬を落としてからベジブロスを作ることをおススメします。農薬の落とし方は、流水で30秒洗い流すか、重曹水につけてから水で洗い流す、野菜用洗剤で洗うなどの方法があります。

ベジブロスの作り方

野菜のくずを袋に入れて冷蔵庫に保管し、ある程度の量になるまでためておき、なるべく多くの種類の野菜くずを両手1杯分用意します。野菜の種類が増えるほど、味の深みが増しやすくなります。

1、鍋に水を1300ml入れ、野菜くずをそのまま鍋に入れて大さじ1杯の料理酒を加え、弱火で20〜30分間煮ます。

2、アクが出ても煮ている間とる必要はありません。(アクにもファイトケミカルが多く含まれているため)

3、火を止めて、ざるで野菜くずを濾せばベジブロスのできあがりです。

ファイトケミカルだけでなく、皮に含まれるビタミンなど、栄養素が溶けだした栄養満点のスープになります。入れる野菜によって味が変わるので、その時入れる野菜くずの種類によって味の違うスープができあがります。

保存期間は冷蔵庫で1週間程度です。それまでに使い切ることができない場合は冷凍して保存します。先述しましたが、使う時に溶けやすいのと、分量の調整がしやすくなるので製氷機を使って冷凍保存するのが便利です。

ベジブロスの活用方法

野菜のだしというと、スープやカレーなどの料理に使う用途を思い浮かべますが、お味噌汁や、煮物、お浸し、玉子焼き、炊き込みご飯など、どんな料理にも使えて便利です。

お味噌汁や煮物に使うことがあらかじめ分かっていれば、ベジブロスを作る際に昆布や鰹節を加えると、和食に合うだしになり、料理に旨味が加わっておいしいだしになります。うどんやそばなどのスープにする場合も、煮出す際に煮干しやどんこ(椎茸)などを加えると、より活用しやすいだしになります。

ベジブロスのベースは野菜のだしですが、通常のだしにつかう食材を用いることで、用途の幅やアレンジができるのも魅力です。


ベジブロスに向いている野菜

ベジブロスができない野菜やフルーツの皮はないですが、捨てられがちな以下の野菜で作ってみてはいかがでしょうか?

タマネギの頭や根部分
ニンジンのヘタやおしり
ナスのヘタ
ネギの葉や根の部分
カボチャの種やわた
キャベツの芯
ダイコンの茎葉の部分
トマトのヘタ

いかがでしたでしょうか。

第7の栄養素と言われるファイトケミカルは、野菜の栄養素の中でも特に種類が多いため、一概に何に効くというのは難しいのですが、ポリフェノールやアントシアニンがファイトケミカルの1種だというと、その栄養素の魅力がお分かりいただけるのではないでしょうか。

ファイトケミカルが特に多く含まれる野菜や果物の皮、種子など、普段捨てている野菜くずを使って、是非美味しくて栄養満点のべジブロスを作ってみてください。

野菜を積極的に食べる以上に、魅力的な栄養素が詰まったスープができあがります。経済的で健康的なので、是非試してみてください。

野菜の皮で布を染めよう!

野菜の皮などを煮出した汁で、草木染めならぬ「野菜染め」もできます。

≫ 「野菜で布を染めてみよう!野菜染め研究」

野菜の汁で絵具を作ろう!

野菜や果物から抽出した液で、絵具にすることもできます。
お子さんがなめても安心!夏休みの自由研究課題にもぴったりです

≫ 野菜で絵の具を作ってみよう!

野菜の皮を捨てるなんて、もったいない!
ぜひいろんな方法で、野菜を楽しんでみてください。